浅い呼吸と深呼吸ではどういう違いがあるのでしょう?
生理学で学ぶ、肺胞換気量(はいほうかんきりょう)というものがあります。肺胞とは肺の組織の一部です。「どれだけ肺の空気が入れかわるのか」くらいで考えてください。
1分あたりの換気量を分時(ふんじ)肺胞換気量と言いますが、これは以下の式で求められます。
分時肺胞換気量 = (1回換気量-死腔量)× 1分あたりの呼吸数
※1回換気量とは1回の呼吸で出入りする空気の量で、成人では安静時に約500ml。
※死腔量とは空気交換に関与しない空気のことで、成人で約150ml。
※1分あたりの呼吸数は成人で安静時に約12~20回。
浅い呼吸は1回換気量が下がるため仮に標準の半分(250ml)として、そのかわり呼吸数を中央値(12~20の中間である16)の2倍の32回にしてみます。
浅い呼吸の分時肺胞換気量は
(250-150)×32=3,200ml となります。
また、ゆっくり深呼吸したときには、1回換気量が上がるため標準の2倍の1000ml、呼吸数は16回の半分である8回とします。
深呼吸での分時肺胞換気量は
(1,000-150)×8=6,800ml となります。
同じ1分間でも、早くて浅い呼吸とゆっくりな深呼吸では、酸素や二酸化炭素の入れかわりに2倍以上の差が出るんです。入れかわらない空気(死腔量)を知ると、深呼吸がいかに効果的かわかりますね。
体は酸素がしっかり届いてこそ、良い状態が保てます。
マスクをつけるべき時と平気な時を考えて、公園での散歩などのときは深呼吸を意識してみましょう。
体の心配事、いつでもご相談ください。